今回はいつものような説明記事ではなく、タイトルの通り糖の構造と三文字表記を紹介していこうと思います。どちらかというと箇条書き的な記事になるので、この表記は何だっけ?とか、適当な省略が使いたいなといったときに参考にしてもらえたらと思います。ちなみにここでは D 体のみ示します。これは天然では D 体が圧倒的に多いためです。L 体は D 体の鏡写しですので、L 体の構造を知りたい方は、すべての炭素の置換基の左右を入れ替えてください。
なお、単糖名(単糖英語名; 三文字表記)という風に記述しています。三文字表記のないものは記載していません。では見ていきましょう。
Contents
アルドース (aldose)
トリオース(triose; 炭素数が 3 つの単糖)
テトロース(tetrose; 炭素数が 4 つの単糖)
ペントース(pentose; 炭素数が 5 つの単糖)
ヘキソース(hexose; 炭素数が 4 つの単糖)
ケトース(ketose)
トリオース(triose; 炭素数が 3 つの単糖)
テトロース(tetrose; 炭素数が 4 つの単糖)
ペントース(pentose; 炭素数が 5 つの単糖)
ヘキソース(hexose; 炭素数が 4 つの単糖)
さて、ケトースのジヒドロキシアセトンについては不斉炭素原子がないので立体異性体は存在しませんので注意してください。また、アルドースでは末端の炭素原子以外の炭素原子がすべて不斉炭素原子です。一方でケトースでは末端の炭素原子とケト基の炭素原子以外が不斉炭素原子となります。ですので、ケトースはアルドースと比べて不斉炭素原子が 1 つ少なくなります。ですので、ケトースの方が全体的に種類の数が少なくなります。
参考文献
- 島原健三 (1991). 概説 生物化学. 三共出版. pp. 5-34
- 2.Jeremy M. Berg, John L. Tymoczko, Gregory J. Gatto Jr., Lubert Stryer著、入村達郎、岡山博人、清水孝雄、中野徹訳 (2018). ストライヤー生化学 第8版. 東京化学同人. pp. 290-313
- John McMurry著、伊東椒、児玉三明訳 (2000). マクマリー有機化学 第4版. 東京化学同人. pp. 439-470
- K. P. C. Vollhardt, N. E. Schore著、古賀憲司、野依良治、村橋俊一、大嶌幸一郎、小田嶋和徳、小松満男、戸部義人訳 (2020). ボルハルト・ショアー現代有機化学 第8版. 化学同人. pp. 1425-1486
- McNaught, A. D. (1996). Nomenclature of carbohydrates (IUPAC Recommendations 1996). Pure and Applied Chemistry, 68(10), 1919–2008. https://doi.org/10.1351/pac199668101919
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