この記事ではヌクレオチドの de novo 経路の詳細を解説しています。ヌクレオチドの合成経路についてはこちらの記事で解説していますので、この記事と合わせて読んでみてください。

プリンヌクレオチドの合成経路

 プリンヌクレオチドの各反応を反応の種類別に記載します。

  1. 反応 a はリン酸化
  2. 反応 b, c, e, f, g, h, l, p はリン酸化で活性化され、求核試薬よる求核置換反応
  3. 反応 d、j は CHO-THF によるホルミル基(CHO-)の転位反応
  4. 反応 i、m はフマル酸の脱離反応
  5. 反応 k は脱水反応
  6. 反応 n、q は脱アミノ反応
  7. 反応 o は酸化反応

 下図はプリンヌクレオチドの生合成経路の全体像です。反応の色は上記の反応の色に対応します。

 以降は各反応について、反応の種類別にみていきましょう。

2.リン酸化による活性化と、求核試薬よる求核置換反応

 リン酸のリンは δ+ 性を持っているため酸素などによって求核的に攻撃され、結合を形成します。このようにしてリン酸化されるとリン酸基に隣接する炭素が δ+ 性を有するようになるため、アミノ基などの求核試薬により攻撃を受けて結合を形成し、置換基が交換されます。この反応ではどのリン酸が結合するか、求核試薬は何かに注目するとわかりやすいです。

3.CHO-THF によるホルミル基(CHO-)の転位反応

 CHO-THF はホルミル基(アルデヒド基とも;-CHO)を対象分子に転位する役割を担っています。ホルミル基の炭素は δ+ 性を持っているので、アミノ基などにより求核的に攻撃を受けることでホルミル基が転位されます。

4.フマル酸の脱離反応

5.脱水反応

 この反応ではアミノ基とホルミル基間で結合が形成されて、酸素が脱離します。

6.脱アミノ反応

 この反応はアミノ化の逆反応です。反応 q では脱アミノ化されると同時に酸化されます。

7.酸化反応

 この反応は酸化されることでカルボニル基に変換されます。

ピリミジンヌクレオチドの合成経路

 ピリミジンヌクレオチドの各反応を反応の種類別に記載します。

  1. 反応 a, b, e, l はリン酸化で活性化され、求核試薬よる求核置換反応
  2. 反応 c では脱水反応
  3. 反応 d は酸化反応
  4. 反応 f は炭酸の脱離反応
  5. 反応 g、i、k はリン酸化または脱リン酸化
  6. 反応 h はリボヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドへの変換
  7. 反応 j はCH2-THF によるメチレン基(-CH2-)の転位反応反応

 下図はピリミジンヌクレオチドの生合成経路の全体像です。反応の色は上記の反応の色に対応します。

 以降は各反応について、反応の種類別にみていきましょう。

1.リン酸化による活性化と、求核試薬よる求核置換反応

2.脱水反応

3.酸化反応

4.炭酸の脱離反応

5.リン酸化または脱リン酸化

6.デオキシリボヌクレオチドへの変換

7.CH2-THF によるメチレン基(-CH2-)の転位反応